JAL CA マタニティハラスメント裁判提訴にあたって

(声明)

 

 2015616日、日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)組合員が日本航空に対し、妊娠による一方的な休職発令は違法であるとし、賃金保障及び損害賠償を求めて、東京地裁に提訴しました。原告は、日本航空の現行制度は、男女雇用機会均等法93項および、労働基準法653項違反であり、マタニティハラスメントに当たるとして、この訴訟を決意しました。

 

日本航空の制度では、客室乗務員が妊娠した場合、母性保護の観点から乗務資格が停止し、それに伴い、「産前休職または、産前地上勤務」を選択する手続きが必要になります。2007年度までは、希望者全員が産前地上勤務に就くことができました。しかし、2008年度以降、生産性向上を理由に制度が改悪され、規定に「会社が認める場合に限る」という一文が加わりました。その結果、希望しても全員が産前地上勤務に就くことが出来なくなり、多くの人が一方的に休職発令され、無給を余儀なくされています。

 

原告は、昨年8月妊娠が確認され産前地上勤務を申請しましたが認められず、一方的に休職発令されました。労基法26条に則り、会社の責に帰すべき事由による休職に対して、賃金の保障を求めましたが、「そうした制度は社内にはない」とされ、無給の生活を強いられました。当該原告は、再三にわたり会社窓口に地上勤務を希望する事を伝えました。

また、労基署や雇用機会均等室へも相談し、均等室では調停開始が認められましたが会社が応じず、打ち切りとなりました。組合においても2014年末交渉、2015年春闘交渉の場で訴え、二度に亘る社長出席の経営協議会でも改善を求めましたが、会社は希望者全員が就ける制度にすることは拒否し、解決には至りませんでした。

 

現在の安倍政権の「女性が輝く社会に」という方針に則り、日本航空でも今まで以上に女性が活躍できるJALグループを目指して具体的施策に取り組むとしています。日本航空は「くるみんマーク」を取得し、「なでしこ銘柄」に選定され、女性が働き易い企業であることを広く内外にアピールしていますが、実態とは大きくかけ離れていると言わざるをえません。

 

私たちCCUは、男女雇用機会均等法93項及び労働基準法653項に則った制度への改善を目指し、日本航空の客室乗務員が安心して妊娠・出産し働き続けられるよう、原告とともにこの裁判を闘っていきます。そして、子育てをしながら働き続けることができる社会、女性も男性も働きやすい社会になるよう、この裁判が一助となることを願い取り組んでまいります。皆様のご理解、ご支援をお願いいたします。

 

 

                       2015617

                       日本航空キャビンクル―ユニオン

 

 

 

JAL CAマタニティハラスメント裁判を提訴するにあたって

 

     2015年5月16日

原告 神野 知子

 

JAL CA マタニティハラスメント裁判の原告の神野知子と申します。

1 私は、今まで多くの同僚客室乗務員が妊娠したことにより、突然無給にされるという不利益な扱いを受け、生活不安を抱えながら出産に臨んでいるのを見てきました。

2 私自身もこのたび新しい生命を授かることができ、本来であれば心から喜び安心して出産を迎えられるものだと思っていました。しかし、妊娠後に就労の継続を希望したにも関わらず、ポストがないという理由で一方的に就労の継続を断られ休職発令され、妊娠したとたんに生活の糧である収入が途絶えてしまいました。

私は、当時世帯主であり母を扶養もしておりました。そのため、突然無給にされては生活することができなくなるので、仕事をさせて欲しいと会社に再三お願いしましたが、「客室乗務員として働けない中で、他の業務にポストがないのだから、休職発令するしかなく賃金保障をするような制度もない」と言われました。それならば、他企業でアルバイトをさせて欲しいとも伝えましたが、それは就業規則で禁止されていると言われ全くの八方ふさがりとなり収入が断たれました。

3 私はすぐに市役所に行き、妊娠によるこのような不利益はひどいと訴えました。また、私は、このような実態をきちんと会社に伝え改善してもらいたいと思い、労働組合を通し会社に何度も話し合いの場を持ってもらうようお願いしましたが、解決策が示されることはありませんでした。市役所のアドバイスにより労基署や雇用機会均等室にも足を運び、均等室には調停を申請しましたが、会社が話し合いの場への出席を拒否したため調停は打ち切りになりました。

初めての妊娠でしたし、初期でもあったのですが、このままでは生活ができないと思い毎日祈るような気持ちで駆けずり回りました。不安でいっぱいで心身ともに疲れ切ってしまったことを今でも覚えております。このように、妊娠という女性にとって幸せいっぱいであるはずの時期に、多くの客室乗務員が生活不安を抱える日々を送っているということを知りました。

4 JALの客室乗務員の賃金は、2011年に大幅に切り下げられ、特に若い方たちは、日々の生活に精いっぱいで貯蓄出来るほどの収入がないのが実態です。妊娠したら出産までの費用と生活費を賄うために、ひとまず目先の収入が必要になり退職金をあてに退職せざるを得ない人もいます。

5 JALは女性が多く働く、日本を代表する企業です。そのような企業で、妊娠による不利益、マタハラが横行しているということは、日本の社会ではまだまだ女性が安心して妊娠・出産をすることができないということです。

JALの企業理念やフィロソフィには、物心両面の幸福や率先垂範などがあります。まさに今、JALは社会に対しお手本となるような企業になるべきだと思います。そして多くの女性が妊娠による不利益や無給生活で不安な思いをすることがなくなるよう、妊娠・出産をしても安心して働き続けることが出来る社会になるよう祈りを込めて、今回の提訴に至りました。皆様のご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

以 上